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1 エングレーヴィングで制作した銅版画のもっこり感を紹介します。銅版画は凹版といって、版表面を彫ることで溝をつくり、そこにインクを詰めて刷るという版種です。
なので、刷り上がりの紙の表面にインクがのり、もっこりと凹凸ができあがります。
エングレーヴィングは盛り上がりが特に強く、それを実感することができます。
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2 エッチングとエングレーヴィングの線の溝を断面図で比較した場合。エングレーヴィングの良さを伝えるには、一般的な銅版画技法であるエッチングと比べるのがわかりやすいと思います。エッチングは直接版に彫りこむのではなく、腐食液を使って版を溶かして溝を作るという技法です。ニードルを用いて鉛筆で描画するのと似たような要領で銅版画を制作することができ、お手軽なので人気です。多分、銅版画を制作する人の6~8割はエッチングだと思います。エッチングの溝は、エングレーヴィングと比べても浅く、かつボロボロとした溝になります。そのため、紙表面にのるインクもボロボロとした感じで、盛り上がりも浅いです。このボロボロとした感じがエッチングの良さであります。対してエングレーヴィングの溝は、鋭く深いです。鋭く研がれた刃で直接彫っているので当然ですが、カッチリ溝ができています。そのため紙表面にのるインクの盛り上がりはとどまることをしりません。結果、エングレーヴィングの版表現は、鋭く、強く、明確かつ鮮明な表現になります。エッチングと比べて温かみのある表現ではありません。むしろ冷たい、機械のような冷徹な表現です。
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3 銅版画 No139 拡大
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さらに拡大 エングレーヴィングは絵を線で表現します。線を連続して彫り、交錯させたりして明暗を作り出します。これだけ拡大しても線がカッチリしているのがわかります。線と線の間隔は1ミリくらいです。もっと熟練した人は、1ミリの間に3~4本の線を引いたりします。
インクがもっこりと盛り上がっているのがわかると思います。
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No138
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これだけ拡大しても、線がカッチリと明確に表現されています。デジタル印刷ではこうはいきません。最も単純で、原始的な刷りだからこそ可能な表現です。
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No137
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髪の毛はエングレーヴィングの良さを生かすポイントだと思っています。
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No132
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紙幣をよく見てください。こんな感じだと思います。
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No131
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鋭い線、強靭な線、細密な線、なめらかな線。これらはエッチングでもデジタル印刷でもない、エングレーヴィングだけの表現です。
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No130
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交錯線を英語でクロスハッチングといいます。
クロスハッチングはエングレーヴィング表現の醍醐味です。特に二重の交錯線の表現は深いです。線の間隔をあけたり、交錯線の間の菱形の空間に点描を入れたりして、微妙な明暗の違いをつけたりすると途端に質が変わって見えます。手間もかかるし、難しい。こういうやり方は職人的な彫りと言われています。
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自作のクロスハッチングの表。左から、三重ハッチング、二重ハッチング、ハッチング。
上から太い刃で、順番に細くなっていき、一番下が最も細い刃を使用。
エングレーヴィングは原則として、最高でも4重のハッチングが限度です。それ以上重ねて彫ることは厳しいです。そういう限定的な部分が難しいです。行き当たりばったりで彫れない要因です。
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拡大。 昔に作ったものですが、案外使えるかもと思ったのですが、全然使うことはなかったです。彫るのは大変だったけど。完