銅版画 No160 萌え×和×日本円

萌銅版画 日本円 二作目

①製版 アウトラインを刻み込む。

 

内部を彫る。

銅版画はエッジが圧倒的にキレイ。

アウトラインの溝に線がしっかりと食いこませる。

線と線の間隔は0.5ミリ~1ミリくらい。

実際の紙幣は0.1ミリ~0.3ミリくらい。

 

0.5ミリ間隔でも相当キツイ。細かすぎて目と技術がついていかない。

細かければ絵がよく見えるとは限らない。

だが、版画は技術があるかないかで価値が変わる。

刃が銅版画に食い込ませ彫り進めると、銅版画のカスが出る。ニョロっと細い銅の糸のようなもの。

 

小さいバネのように楕円に渦巻く。

このようにくるくるするのは、多分技術が浅いからだろう。

職人が彫った場合、まっすぐになると思われる。

刃の角度が狂っているか、彫り方がおかしいか。

 

一層目

二層目

 

かなりアバウトに彫ったが、思いのほか良い。

 

背景を彫り進める。

MAXの黒は紙幣の下部分と上部分の横に細長い線みたいなとこ。

三層。

萌キャラと銅版画は相性がいい。エッジが強い銅版画は、萌えキャラのきめ細かい表現を生かすことができる。

が、表現を一定ラインに押しとどめないと、萌えキャラの最大の長所である「かわいさ」を打ち消してしまう。

とくに影の扱いを間違えるとひどいことになる。

 

背後の空間をまったく無視したスタイルで彫る。

これは紙幣の彫りを制作する中で発見した、自分のスタイルである。

背後をMAX黒として手前ほど白くする。

彫り 終

磨く。

ほとんど大差ないが、刷りによる摩耗で版表面はわずかに劣化する。

それを考慮すれば、版の状態はこのときが最も美しい。

きれい

線は通常黒でみえるが、版を磨くと光の反射で白く見えるので、絵柄が白黒逆転してみえる。

インクをつめる。RSRという、ドイツ製のインク。

もっともいいインクではない。ただふき取りやすく、詰め込みやすい。

プレス機に置く。

悪くはない。特別よくもない。

紙幣を彫ることに慣れてきて、こなれた感じになっているのがよくない。

もう一度いろいろ潰したりして変化を加えていこうと思います。

ただ、萌えキャラは良い。非常に絶妙な明暗バランスである。これは、想定よりもはるかに良かった。

特に顔を近接で見たときの感じが最高。非常に素晴らしい。銅版画は作る時に目をかなり銅版に近づけてみる。だからこのくらい接写の距離でみるのが、もっとも銅版画を正確に見ることができる距離といえる。

 

スバラシイ。

花飾りの美しさが良さより際立たせている。

ディティールが最低限しっかりしている。この辺は適当に処理しがちだが、今回はなんかうまくいった。

 

この周辺の文字はやっぱりいまいち。

実物の紙幣を見ても、どうやら職人の彫りで処理されているように見える。

ただ、筆で描かれた文字を、刃で彫るのはやはり合理的でない。

相当徹底した機械的な彫りで処理しないと不自然な感じになる。

 

 

ここは最高に良い。アバウトに彫ったのだが、非常に良かった。これはレベルが高い。

偶然できた産物。

中央部に丸はんこを手押しして完。

全体的に悪くはない。ただ、遠目から見たときの一面グレーな感じがピンとこない。