萌銅版画 日本円 二作目
①製版 アウトラインを刻み込む。
内部を彫る。
銅版画はエッジが圧倒的にキレイ。
アウトラインの溝に線がしっかりと食いこませる。
線と線の間隔は0.5ミリ~1ミリくらい。
実際の紙幣は0.1ミリ~0.3ミリくらい。
0.5ミリ間隔でも相当キツイ。細かすぎて目と技術がついていかない。
細かければ絵がよく見えるとは限らない。
だが、版画は技術があるかないかで価値が変わる。
刃が銅版画に食い込ませ彫り進めると、銅版画のカスが出る。ニョロっと細い銅の糸のようなもの。
小さいバネのように楕円に渦巻く。
このようにくるくるするのは、多分技術が浅いからだろう。
職人が彫った場合、まっすぐになると思われる。
刃の角度が狂っているか、彫り方がおかしいか。
一層目
二層目
かなりアバウトに彫ったが、思いのほか良い。
背景を彫り進める。
MAXの黒は紙幣の下部分と上部分の横に細長い線みたいなとこ。
三層。
萌キャラと銅版画は相性がいい。エッジが強い銅版画は、萌えキャラのきめ細かい表現を生かすことができる。
が、表現を一定ラインに押しとどめないと、萌えキャラの最大の長所である「かわいさ」を打ち消してしまう。
とくに影の扱いを間違えるとひどいことになる。
背後の空間をまったく無視したスタイルで彫る。
これは紙幣の彫りを制作する中で発見した、自分のスタイルである。
背後をMAX黒として手前ほど白くする。
彫り 終
磨く。
ほとんど大差ないが、刷りによる摩耗で版表面はわずかに劣化する。
それを考慮すれば、版の状態はこのときが最も美しい。
きれい
線は通常黒でみえるが、版を磨くと光の反射で白く見えるので、絵柄が白黒逆転してみえる。
インクをつめる。RSRという、ドイツ製のインク。
もっともいいインクではない。ただふき取りやすく、詰め込みやすい。
プレス機に置く。
悪くはない。特別よくもない。
紙幣を彫ることに慣れてきて、こなれた感じになっているのがよくない。
もう一度いろいろ潰したりして変化を加えていこうと思います。
ただ、萌えキャラは良い。非常に絶妙な明暗バランスである。これは、想定よりもはるかに良かった。
特に顔を近接で見たときの感じが最高。非常に素晴らしい。銅版画は作る時に目をかなり銅版に近づけてみる。だからこのくらい接写の距離でみるのが、もっとも銅版画を正確に見ることができる距離といえる。
スバラシイ。
花飾りの美しさが良さより際立たせている。
ディティールが最低限しっかりしている。この辺は適当に処理しがちだが、今回はなんかうまくいった。
この周辺の文字はやっぱりいまいち。
実物の紙幣を見ても、どうやら職人の彫りで処理されているように見える。
ただ、筆で描かれた文字を、刃で彫るのはやはり合理的でない。
相当徹底した機械的な彫りで処理しないと不自然な感じになる。
ここは最高に良い。アバウトに彫ったのだが、非常に良かった。これはレベルが高い。
偶然できた産物。
中央部に丸はんこを手押しして完。
全体的に悪くはない。ただ、遠目から見たときの一面グレーな感じがピンとこない。