銅版画 No161 萌×和×日本円

萌銅版画紙幣制作 No161

製版

ガイドラインを彫りこむ。

ある程度アバウトでよい。

この段階でカチカチに彫りこむと、内部の彫りで

窮屈になってしまう。

傘の骨組みの表現は、やりたくない。手間がかかる。

しかし、このような機能的な設計がされたものの表現は、銅版画の長所を最大限生かせる部分でもある。

一本一本の線が強く細密で、エッジがしっかりでるので、ものすごく画面が映える。

ただ、手間と精度が必要なので、避けてきた。

内部の彫り 数字の部分

 

背景の内部の彫り

 

ドル札と比べて装飾的な箇所が多い。実物ではないデフォルメされた表現がおおい。線表現が工夫されていて、ドル札のような影のための線ではなく、装飾的なデザイン的な線構成がされている。

背景 点描を彫りこんで弱めの模様を加える。

この表現があるかないかで全体の印象がぐっとよくなる。ただ、だいたいいつも適当な模様になるので、工夫したい。

文字の部分 前回は強い線で文字を彫り、弱い線で背後の模様を彫りこんだ。

今回は弱い線の背景は文字と重ならないように彫った。

弱い線とはいえ文字と重なると、ちょっとごちゃごちゃしたので変えた。

 

 

一番ネックの部分。

線の溝に向かって彫りこむのは問題ないが、刃を食い込ませ彫るという性質上、線の彫り始めはかならず点から放射上に太くなっていく。

そのため面が一様な色合いにならないので、うまく表現できない。

手間をかければ問題ない。

和服は彫りやすい。 凹凸が単調で、服の質感も固い。

非常に線の構成が単純で、気持ちよく彫れる。

輪郭も強く、銅版画と相性がいい。

 

萌えキャラ部分は、ピンとこなかった。比較的に小さいので彫りこみが甘かった。もっと彫りたかったが、細かすぎた。

彫り 終了

磨く

この部分は案外よい。

手を抜いた割にはぜんぜんいい。

シンプルな表現は銅版画と合ってる。

下手にこだわってぐちゃぐちゃになるよりはこのほうが見栄えがいいだろう。

傘の影の感じがこんがらがった。

なんとか根性でのりきった。

インクを詰める。

ドイツ製シャルボネインクRSRはふき取りやすい。ただ、ベストなインクではない。

刷り

刷った感想 悪くない。

全体的に一面グレーなのは線が主に一層から二層で済ませたから。

一面グレーで済ませると楽だが、全体で見たとき単調になってしまう。

しかしあんまりそれがマイナスになってない。むしろこのほうが紙幣感がある。というか、日本円はこのほうがいい。

 

左の文字の部分 結果 よい。

文字と背後の模様の線は重ねないほうがいい。

こういう微妙な処理は案外銅版画でいける。

萌えキャラ部分は、彫り足りなさがある。

最低限の彫りで済ませている。

決して悪くはないが、特別よくはない。

左の後ろ髪の部分は良い。

傘の骨組みの部分は、もっとよくできる。

慣れればもっと銅版画の良さとマッチしていくだろう。

背後の点描の模様はこなれてきた。

今後はいろいろ工夫してみたい。

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全体で見たときの雰囲気は、いままで作った札の中で一番ある。

手を抜いた感じででたグレー感がかみ合った。

下部分に手押しではんこをいれ、完了。

●銅版画の道具紹介1 砥石

砥石

銅版画の刃を研ぐときに使う。

銅版に精度のある線を彫るには、刃がしっかりと研がれていなければいけない。

刃を研ぐには、刃の表面を荒い研ぎ→きめ細かい研ぎの順序にそって研いでいく。

変な彫り方だったり、交錯する線を彫る時、複雑な線を彫る時は刃が劣化しやすく研ぎの頻度は上がる。造幣局の職人は、一本の線を彫るのに数十分くらいかけて彫る。そのたびに研ぎなおすと聞く。

 

人差し指の腹に刃をあてて縦方向に前後させ研ぐ。

これが、おそらく銅版画のエングレーヴィングにおいて、もっとも初心者殺しになる点だと思われる。たいていの場合、挫折する。職人気質な性格でなければ無理。

銅版画のエングレーヴィングは線がきれいで、案外やってみたいと思う人は多い。学生時代の経験上、そんな人はたくさんいたが、研ぎの段階で、あっさり心が折れてしまう。