萌銅版画 日本円 4作目
製版
5000
MAXの黒は彫りを重ねて深く彫る。
おそらく、こういう彫りは普通しない。
刃が傷みやすいが、より強い黒がでるので画にメリハリがでる。
アメリカドル札では見なかった日本札特有の、模様のような装飾的なもの。
こういう感じの模様は、銅版画では非常に生きる。が、彫る側の気持ちとしては、避けたいものである。彫りが下手か、上手いかすごくわかりやすくでる。
いままでの制作で、様々な彫り方を試してきた。
全体を一層の線でとりあえず彫りそのあとに二層三層と重ねるように彫ったり、背景、人物とそれぞれ分けて彫ったりした。
より合理的に作れるような彫り方へ変わっていき、今の作り方に至る。
線のカスがしっかり出てるということは、その分溝ができているので、ちゃんと彫れているということになる。
左のほうから、一層、二層、三層と交錯線を重ね、黒の階調をつくる。
5000YENの部分は細かい。交錯線が多くなると溝に線が飛び出したり、カスがたまって溝が埋まってしまい、しっかりと線がでなくなってしまう。
最近、銅版はねんどのようにやわらかいように感じてきている。
弱線で一層目(曲線)
強線で二層目(曲線)
実際の紙幣のデザインを無視した彫り。
というか、実際の紙幣のこのよくわからない部分が職人の彫りでできているものかは不明。
あまりにも細かすぎるのでアレンジしてできるだけ寄せるように彫っている。
この部分は、実際の紙幣では彫られていないところ。デジタル印刷されたであろう部分。
こういうのは非常に楽。
こういうとこは銅版画特有の線表現が生きる。
実際はもっと整った線で、一定間隔の曲線が連続して引かれている。その辺までしっかりと再現はできない。あんまりそこは厳密にしたくない。
ある程度、ゆるゆるのルールのもの、線を彫った。
ここはもっといける。銅版画の良さを生かせるポイント
もっと深く彫りこめば、より良くなる。
エッジが効き、細かくでる。
線と線の間隔に、さらに細い線を一本ずつにそれぞれ彫りこんでいく。
こういう作業は銅版画特有のもので、より表現の質を上げる。ただ、なかなかうまくいかない。
さらに、より細かくなるので刷りの難度が上がる。
萌えキャラを彫りこんでいく。
非常に美しい。
萌えキャラを彫る時の気持ちと、紙幣部分を彫る時の気持ちは結構違う。
どちらも一長一短な感じで、それぞれ足りないものを補っている。バランスがいい。
紙幣部分が生きれば、萌えキャラも又、生きる。
萌えキャラの髪の表現は、依然と比べて格段に上達した。非常に良い。線の太さと、線と線の間隔で微妙な明暗を変え、存在感をよりつよくする。
肌の部分は、まだ課題がある。固い。
彫り 終了
磨く。
やっぱり原版はキレイです~。
刷り インクを詰める。
今使っているインクは、正直あまりよくないと思うようになった。
とはいえ一概にインクが悪いとも言えない。
今までの経験上、刷る時の気温や湿度、紙の湿し具合やインクの柔らかさ、インク自体の質、詰め方、プレス圧、などいろんなことが大変で、問題がある。
プレス機に置く。
紙を置き、プレスにかける。
あんまり刷りがよくないです。とくに細かい彫りが多い背景部分は線がところどころ抜けている。
昔はそれをよしとせずに、妥協せず刷ろうとしていたが、今では、そんなのもOKとしている。
この辺の部分は、個人的にドル札の経験がそのまま生きている感じでよい。工夫する余地はある。
刀の部分は、案外よくできた。
太い線はしっかりと出るが、細い弱い線は、やはり線がとぎれとぎれになってしまう。
しっかりと彫れている自信はある。やはり、刷りが悪い。
美しい・・・。非常に素晴らしい。100点ではないが、80点くらいはある。
萌えキャラは、やはり線こそ生きる。
萌えキャラの良さを最大限に引き出すには、やはり線だと思われる。
●銅版画の道具紹介2 クッサン
今回紹介するのは、『クッサン』と呼ばれる道具。表面は人口の布です。中に砂が入ってます。
昔から伝統的に使用されている道具で、当時は牛皮でつくられていたそうです。
この上に銅版をのせて彫ります。
上の小さいクッサンは大学時代に作ったもの。
下の大きいクッサンはちょっと昔に自分で作ったもの。
版画専門店などで売ってますが、ぼったくり価格で売られてます。自分で作ったほうが質も、値段もぜんぜん得。
かれこれ7~8年近く使ってます。
一生ものの道具なのか、どうなのか。
この上で版をくるくる回して彫るので、銅板と布との摩擦で中央部分が摩耗されてる。いつか穴が開くかもしれない。
人口布でできてるので、最初は肌色でしたが、2~3年で黒色になった。教授から色を塗ったのかと言われたが、ある程度使えばこんな色になるわ。
こんな感じで版を置き、くるくる回して彫ります。
これが、美しい曲線を引くコツ。