萌銅版画 日本円11/12作目
製版
紙幣部分は職人彫り
萌えキャラ部分は絵画彫りで進めます。
この部分は思い切って白黒のチェックにした。
交錯線を最初に彫り、その後四角形の内側に線を彫る。
前回の作品でこの彫りをして、案外よかったので今回も使う。
交錯線のエッジが効くのでなかなか良い。
赤枠の部分。
この彫りはやることが単調で作業感が強い。
なにより細かい部分なので疲労度が大きい。
ただ、完成すると表面の効果はでかい。
太い線の連線の間に、細いビュランで線を彫りこむ。
地味だが結構効果的な感じがする。
細い線・太い線・細い線・太い線と続くと、ただの交錯線の面ではなくなっておもしろくなる。
背景部分はまた点描。
点描を下から上部分にかけて一層→二層→三層と重ねていき、微妙なトーンを作る。
点描の、黒白の階調は線の階調より、もっと弱い繊細な表現ができる。
萌えキャラ部。
彫り方をいままでのスタイルと大きく変えた。
職人彫りで彫ってきたところを絵画彫りに変更する。
絵画彫りでやると、どんどん彫りこんでしまい写実感がでてしまい、最も重要なかわいさが無くなる。
あくまでかわいさを最重要として、絵画彫りをする。
版を磨く。
インクを詰める。
なかなかいい。
萌えキャラ部分は表現が豊かになっている。絵画彫りだからこその、表現の豊かさになっている。
職人彫りだとここまでこまごまとしたパーツを処理しきれない。
胸のふくらみが良い。線描ではなかなかできなかった。
かわいい。
木の枝と花の部分が良い。
萌えキャラとかぶってるし、こまごまとしていて彫る分には厄介でしょうがないが、非常にいい感じでできている。
単なるアウトラインで形を処理していない。太い線と細い線で形を作っていて、それがしっかり生きている。
これが最高な表現ではないが、第一歩を踏み出せた感じがある。
作業感が強くめんどくさい部分だが、しっかりと処理し終えると、それだけ効果的な表現になる。
これ以上もこれ以下もない表現ではある。
非常に意味が大きかった。
職人彫りではない、絵画彫りだからこその表現の可能性を感じた。
さらに繊細で、さらに鋭い線で萌えキャラを彫りこむことができる。
萌えキャラの可愛さと、銅版画の強烈さをもっと突き詰められる気がします。
●銅版画の道具紹介 酢と塩
酢と塩の混合液。
銅版画の制作では無くても困らないがあると便利。
銅板は制作中にどんどん表面がきたなくなっていき画面が見えなくなってくる。
時間の経過だったり指で触れて汗や油がついたりして、表面が酸化して変色する。
液体を銅板につけると表面の汚れがきれいになる。
下部分に酢と塩の混合液をつけた。
画面がきれいになるとしっかりと画像が見えるので、彫り進めるうえで修正の助けになる。
絵画彫りでは、銅板の中で画をいじくる場合があるので、画面をよく見ないといけない。その都度こうやって漬けてさっぱりさせると効果的。
表面を磨いたわけではないので、制作し続けるとすぐに元に戻ってしまうが、一時的に画像をちゃんとみることができるので、制作に有効。