シーズン3 萌×和×日本円 まとめ

全12作 3か月程度の期間で制作。

テーマは萌×和×日本円

 

ドル紙幣から始めた紙幣系の銅版画から発展して、日本円札に移っていった。

 

日本円は日本人ならなじみのあるもので、売れそうだと思ってこのテーマにした。

銅版画の伝統技法と密接に関係している「紙幣」系の銅版画にしたいという気持ちが強い。

No159

萌えキャラ部分はいいとして、ドル札から日本円にテーマを変えて不満だったのが、漢字の彫り。

ドル札の時も最初は英単語の彫りが不満だったが彫ってみればあんがい単純で何とかなった。

しかし今回は複雑に交錯し、さらに筆で描かれた文字を彫らなければならない。

そこの感覚の違いが不満だった。

彫ってみればドル札と同様になぁなぁで済んだ。

悪くはないし、別に格段いいわけでもない。

 

今回の取り組みとして、より紙幣に近づけるために丸いハンコ(萌萌印刷)と、小さい横文字のハンコ(萌萌印刷局製造)を、刷り終えた後に手押しした。

ドル札の時も丸はんこのみ使用した。刷り終えた銅版画に直接手を加えるのは銅版画的な視点ではタブーというか、普通はしない。刷った後に原版を加筆・修正したり、プレス機に通す直前(=インクの詰める時)に手を加えるのはある。版画に直接手を加えると、彫り師としてか絵師としての加筆なのか、ごっちゃになるからか。とにかくこのやり方にはピンとこないが、実物の紙幣に近づけるためにチャレンジした。

結果的に、より紙幣感は増した気がする。ないよりあったほうがより情報が増えて手間がかかっているように見える。ただ、手押しなので一枚ごとに斜めってたりかすれてたりする。

No160

2作目

12作終わってから見てみると、これが版画として一番完成度が高いように感じる。手間もかかった。

線がしっかりと彫られている。紙幣部分のディティールがしっかりとしていて丁寧。

萌えキャラ部分は職人彫りに徹している。

このころは紙幣によせる意識が強くて、線に迷いがない。

No161

3作目 前作が良かった時、次の作品はダレる。

結果的には、12作の中でも紙幣感が強い作品になった。

彫りが全体的に単純で工夫がない。明暗の違いも少ない。

太い線でなめらかな曲線を彫るのは得意で、楽。

迷いがないから見栄えもいい。

しかし、プロの職人並みの技術ではないからその辺の甘さが、単純であればあるほど目立つ。

No162

前作がダレたので、気合が入った。

萌えキャラと紙幣の構図がいい。ただ可愛い感じではない。

彫りもしっかりしているが、刷りが悪い。

今回すべてに言えるが、刷りが悪い。

インクの相性が悪くて、油膜が残っている。

そのせいで白黒がはっきりしなかったり線が途切れていたりして、良さが生かせてない。

全体的には非常に良い。

 

 

 

No163

紙幣部分の外枠の彫りを凝った。が、あんまり効果的にならなかった。

中央の空白部分が、手抜き感を感じさせる。

それ以上に外枠をこだわって彫ったが、機能せず。

よく見ると、ディティールはしっかり彫られている。

あと一押しすれば、紙幣感と完成度が高まった気がする。萌えキャラ部分の髪飾りもそこそこには彫れている。

No164

紙幣感が非常に出ている。

紙幣感がこれが一番でてるかもしれない。

漢字の部分の彫りも慣れてきてそこそこいい感じになってきている。

紙幣の模様部分は手を抜くとこは抜き、こだわるとこにはそこそここだわった。

全体的に彫りの質も高い。日本円の彫りに対する慣れを感じる。

萌えキャラがいまいちかわいくなくなったなのがキズ。

 

No165

疲労がでてきた感がある。

いままで職人彫りに徹していたところに、若干絵画的な、その場の感情を優先した想像的な構図が加えられている。

彫りでもない、12作を通して考えたときの全体集中力が切れかけている。

紙幣部分の最低限は抑えているものの、かなり不安定な感じ。

紙幣感が弱い。当初のコンセプトからずれてきた。

No166

ここへきて、完成度が高い。

紙幣感はそんなにない。

ただ彫りも全体の感じもよい。

萌えキャラもかわいく仕上がっている。

この頃から、萌えキャラの髪部分が絵画彫りになってきた。

より表現を増すために絵画的な彫りを始めだしている。これがいいのか、悪いのかはまだわかりません。

全体的に白黒のバランスがいい。紙幣部分がよく彫れている。

細かい線構成はかなり適当で、全体を見たときの白黒バランスのみを考えた。

No167

前作が良かったので、それを引きずっている。

紙幣部分がよく彫れている。白黒バランスよし。

萌えキャラの髪が明らかに絵画彫りになってきている。絵画彫りにすると彫り過ぎて写実的な表現になるのがまずい。あくまでかわいさあっての萌えキャラで、そこを間違えるとかわいくなくなる。

No168

10作目 いままでのものと毛色が違う。

制作ペースを上げ、若干弱い感じになった。

その分全体が均一になって、紙幣感は増した。

背景の一面は点描で表現されていて、弱い表現の中にさらに階調をつけている。

萌えキャラ部分に力を入れていて、絵画彫りの傾向が強い。

かわいいは感じられるが、少し間違うとおかしくなりそう。

No169

萌えキャラの彫りは今回で最もよかった。

かわいい。服の表現も、イイ感じで絵画彫りが生きていて、今後発展できそうな感じがした。

紙幣部分は単純な感じ。無難に終わらせた。

 

とにかく萌えキャラ部分が圧倒的にかわいく、よくできた。

No170

最後の作品

正直、集中力が切れた。前作が良かったので、ダレた。

制作の意識は前作とあまり変わらず、絵画彫りの傾向が強い。

萌えキャラの可愛さはあるが、全体だったり、紙幣部分だったり粗がある。

紙幣部分だけでも職人彫りに徹すればまた変わっていたと思う。

●シーズン3の感想

全体的に、なかなかよくまとまったと思う。日本円のテーマがはっきりしていて、コレクション感がでてる気がする。

やっぱりある程度一貫したテーマであれば、まとまってきた時雰囲気が出る。

日本円は日本人ならなじみがあって欲しくなりやすそうだし、作っていてもなかなか面白かった。

途中から日本円によせる最初の意識を忘れて、萌えキャラの彫りでやや変な方向にいってしまった。

最後まで紙幣によせていく、紙幣並みの完成度にしていくことを目指さないと、よくない感じがする。

売るためにはそうあるべきだと思います。