萌×制服×日本円 二作目
製版
なかなか地味に難しい曲線の連打。
放射状に直線を引いたり、なかなか今までにない積極的な彫り。
線を、叩き込む。
こんな感じの曲線の連打は得意。
線と線の幅が均一になるように等間隔をあけて彫る。
銅版画を始めてすぐのころは、こんな彫りを繰り返ししていた。こんな彫りしかできなかった。
彫りのカス。
スプリング状になったり、ねじ曲がったりする。
曲線か直線か、太いか細いかでいろいろ変わってくる。
線の幅が、いままでよりも狭い。精度が高い。
線と線の隔幅は0.5ミリくらい。
おお・・・。
彫り 完。
版を磨く。
写真を撮る時に調子にのって版を落とし、その時一緒に落ちた石板がちょうど銅板に直撃し、若干銅版が折れた。
心臓が一瞬冷えた。
もろに折れて、ハンマーでたたき平坦にする処置でなんとか事なきを得た。
左上の部分が若干曲がっている。
二度とこんな凡ミスはしたくない。
インクを詰める。
このインク、ふき取りやすいが詰め込みにくい。
インクの質感が固い。乾燥しやすいのか、時間がたつと固くなる。
結論からいうと、圧倒的完成度。最高。
いままで制作した紙幣系の中で、最高の完成度です。
紙幣部分の精度、萌えキャラの可愛さ、そしてエロさ。
求めていたものだ・・・。すばらしい。
ディティールの彫りが単調じゃない。
いろいろ線をくねくねさせた。
しっかり彫っているので、不安はない。
地味な部分ではあるが、線の交錯をちょこまかして単調にならないようにした。
できればもう少し白黒の変化をつけたかったが、これでも十分。
この部分は制作でも初めのほうに彫った部分。
精度をもった曲線を連続して彫る。
紙幣部分の彫りに関して、今回は欠点が感じられない。
どこもちゃんと工夫することやこだわることを意識できていて、ちゃんと彫れている。
地味な部分もなるべく手を抜かない彫りをしている。
こういう細かい部分は、彫っててしんどい。
精度が必要だからなかなか進まないし。
今回はそれすらも楽しんで彫れた気がする。
時間があればもっと彫りこめた部分。
はやく萌えキャラ部分にいきたくて、ササっと済ませた。それでもちゃんと彫ってあって、えらい。
そして、萌えキャラ部分。
最高。かわいい!
文句なし。
最高。かわいい、エロい。
それだけで満足だ。
胸の部分、手の彫り、すばらしい。
いままでこんな彫りはできなかった。
肌の微妙な凹凸や明暗の階調が複雑で、線構成を制御できなかったのに、今回はすんなりできた。
疲れていたので、何も考えていなかったが、すんなりできてしまっていた。
無になっていたのに、できてしまっていた。
もうできないかもしれないが、感動。
デューラーの彫りを無意識で頭の中に感じていたたかもしれない。彫っている時には何も感じなかったが、刷った直後にすぐにデューラーの彫りを思い浮かんだ。
しっかり彫れているから、細い線でもしっかりと出ている。
デューラーの彫り。
この作品かどうかわからないが、何かの作品の、女の胸の谷間の部分の彫りがずっと記憶にある。細い曲線で表層的に彫っていた。そんな感じの彫りが、無意識で頭に埋め込まれていたんだと思う。
何も考えないで彫るのがいい。
たまに少し考えて彫るくらいで、あとはその時の気分にまかせて、すらすらと彫り進めていくのがいい。
かわいい。髪の部分もいい。交錯線を使わず、線と線の間にさらに線を彫りこんで明暗を作るスタイル。交錯線で明暗を作るとうまくいかないとカチコチした感じになる。
シャープに仕上がった。
もう、それだけで十分。
傑作といっていいでしょう。
最高レベルのクオリティ。
満足しました。非常に。
ただ、最近気になったのが、この微妙な線みたいなグレートーン。
もともと自分に合わないインクを使用しているので、全体的にわずかに油膜がついていた。しかし、これは油膜が原因のグレートーンではない。
スクレイパーで線のバーを削る時に版の表面を傷つけてしまっていて、それが原因でこのトーンができてしまった。
スクレイパーの研ぎが甘いのかな。
結構気になる。
●銅版画の道具 ルーペ
細密な彫りが必要な銅版画の制作では基本的に拡大鏡を使用して彫る。
左の画像のような、置いて使うタイプが使いやすい。
右の大きいほうが三倍、左の小さいほうが15倍の拡大率。
最近ではしばらく三倍のルーペを使用していた。
拡大率は低いが、画面が大きく全体が見えやすい。絵画彫りに傾いていた最近の彫りにはちょうど良かった。が、今回の制作では左の15倍のルーペを主に使用した。
3倍のルーペでは線が荒いように感じて、表現が窮屈に感じてきた。
3倍のルーペ。
これでも十分に細かい部分の彫りもできる。
15倍のルーペ。拡大率が上がり、より細部が見える。
3倍のルーペよりも画面が小さくて見ずらい。
彫りの精度が上がるので、表現の質を上げられる。しかし、目の疲労と上半身の疲労が、3倍ルーペよりも格段に大きく感じる。
萌えキャラの可愛さを形作る、目や髪、体や服の重要なディティール部分は15倍で彫るしかない。明らかに質が違う。カッチリと収めることができる。
今回はほとんどの内部の彫りを15倍ルーペを使用して彫った。明らかに線の精度と表現の質が上がった。
とにかく疲労感が大きいが、想像以上の表現力を手にできた気がする。
すべてを15倍ルーペで処理するのもいいと思うが、必要な部分とそうでない部分を判断して、3倍と15倍を使い分けるのも重要かもしれない。