No176

萌×制服×日本円 6作目

製版

こういう部分は少し前まで彫れなかった。

精度のいる単独した曲線は、彫るのが地味に難しい。

角度もあるのでさらに彫りずらい。

 

円のエッジに向けて、線をカチっと彫り進める。

 

地味な工夫がされている。

遠目で見るとたんなる一面のトーンに見えるが、近くで見るとくねくねして微妙に明暗の階調がある。

この表現はもっと計算して工夫することができれば、化ける。

萌えキャラの最も重要な、顔。

髪の彫りはちょっと控えめにした。奥行を出すため強くすべき部分は強くする。

 

 

版を磨く

 

青棒(荒めの研磨剤)→ピカール(細かめの研磨剤)の順で磨く。

キレイ。

製版終了

インクを練る

インクをローラーでのせる。

ヘラで詰める

インクをふき取りプレス機へ

紙をのせる

ラシャとフェルトの二枚の布をかぶせ、刷る。

きゃ、きゃわわわわわわわ(*‘ω‘ *)

 

えちちちち(*‘ω‘ *)

カワゆい(^_^*)

(#^^#)きゃわわ

ブラックかわいいの奇妙な組み合わせに、可能性を感じる。

 

萌えかわいいダークな不気味さは、きっと合う。

銅版画の表現はシュールで暗い感じが特徴だ。

それといい具合にマッチできればなんかいい感じになりそう。

この瞳は、今まで彫ってきた数多の目の中で最高レベルのクオリティです。

無駄がない。線の特性が生きている。

省略するような感じで彫った。まぁ偶然できたともいえる。

 

頬の赤らみの部分も、潔い彫り。今までは柔らかく処理したいがために、弱い線でごまかすか、弱→強→弱で彫っていた。今回は弱→強で締めた。この潔さは、多分重要になる。

 

同じ銅版画技法でもエングレーヴィング技法とエッチング技法とでは表現の質が違う。

エングレーヴィングの硬質な表現は、かわいい萌えキャラ=「ふわふわ、柔らかい」みたいな感じと一見すると相反する感じがするが、いや違う。

それぞれの特性はそれぞれ生かし合うことができ、相殺せず共存できる。

紙幣部分左側の草みたいな装飾が結構いい感じになってる。

あまり意識してなかったが、弱→強の線表現でうまく階調ができてる。

ごちゃごちゃした部分も、流石にもう最低限しっかり彫れている。

工夫はまだ足りないが、マイナス部分はない。

細い単独の曲線。

面になる連線ではない、こういう線はしっかり彫れてると映える。

もっと工夫するとさらに良くなる。

背景の部分は、とりあえずこれで完成形みたいなもん。

今後もちりばめていく表現になる。

 

正直文句ないです。

これをさらに発展させていくか、まったく違う発想でいくか、どうするか。

英字の部分の彫りは、これで完成系じゃないかと思ってます。

アウトライン部分の彫りはまだ荒いといえば荒いですが、内部の下から上にかけての微妙な階調表現は、これ以上はないと思ってます。

2 0 2 0

 

このレベルの細密な彫りはいままでではできなかった。

研ぎの精度が大きく上がり、刃に対する信頼ができたからこその彫り。

職人の彫りに近い。

かなり完成度は高い。傑作と言っていいでしょう。

いままでの5作の最終形のような感じ。

とにかく線に迷いがない。キレイ。エングレーヴィングでしか不可能な表現だ。

 

銅版画として見ても文句がない。線がカッチリ。刷りバッチリ。

これで一旦一区切り。基礎はバッチリ。

後は発想次第だと思います。

 

 

●着色エディション

水彩で着色。前回はアクリルを使用したので、今回は水彩にしました。

思ったより線の上に水彩絵の具がのってしまった。版画インクは油性なので、上手い具合に線をはじいて空白部分に着色するもんだと思っていたが、そう簡単な感じではなさそう。

 

まだインクや紙が完全に乾燥する前に着色した。

銅版画は水張りテープで固定し、水彩をしてもしわにならないようにする。

計三枚ほど実験的に着色した。

 

正直、難しい。水彩は一度筆を画面につけるとそこからすぐに乾燥し始める。全体を見てスピーディーに進めないとムラができてしまう。

ゆっくり時間をかけて線を彫る銅版画と、まったく感覚が違い難しい。

 

筆を使って塗る経験が浅く、どうもピンとこない。

ススーと筆を動かしてスマートに塗り進めるスピード感が、銅版画制作と真逆に感じる。

 

着色していて一つ発見があって、筆の描写と、銅版画の彫りはスピード感では真逆だが、

描写の思考はかなり似てる。

 

一本の線を描くとき、弱→強へと線の幅が変化する点が同じ。

筆の性質上、描く線を事前に考えていないと線の最中に筆が乱れておかしくなる。

線を描く前に事前に考えるところが、銅版画で彫る感覚と似てる。

 

多分水彩だけでなく油絵だったり日本画でも同じだろう。筆を使った経験がほぼないので新鮮だった。

 

鉛筆やボールペンを主に使ってきて、こんな風に考えなかった。

 

長い目でみる必要がある。