萌え×制服×日本円 8/12作目
千円紙幣 D号券 裏
●製版
今回のテーマを制作してから、特にNo174から制作の意識が変わり、命を削って制作するようになった。そのおかげで版画の質が上がったが、疲労がたまった。今回はまだ8作目というのに、疲労感で完全に集中が切れた。
この辺まではギリギリ集中を保ててたが、限度が近い。
今回は集中が完全に切れてしまい、ダメだった。特に、今回は細い刃を使用して、細い線を多用するような感じでやっていこうと思っていたのがあだになった。より細密な表現をしようとして、結果的に集中が持たず途中で精神的に萎えてしまった。
細い線を彫るには高い集中力を要する。表現力は上がる。もっと質の高い銅版画にするには絶対にものにしたい。が、今回は集中が切れた。
中心部の放射状に直線。最後の抵抗のような、疲労困憊のさなかで何か残そうと思ってやった。
今までは空白にしていた部分だった。
磨く。
刷り
インクを練る。
ローラーで版にインクをのせる。
ヘラでインクを溝に詰める
寒冷紗でインクを全体に詰め込みつつふき取る。
人絹で油膜をふき取り、プレス機へ。
正直に言えば、微妙。最初から最後までモチベーションがおかしく、疲労でボロボロだった。
かわいさって気持ち込めないとかわいくならないな。かわいくないとは言わないが、かわいいとは思えない。
紙幣部分も最低限の処理だけしましたって感じになってしまった。彫りこみが足らない。
萌えキャラ部分の彫りは、細い刃を主に使って彫ったが、細い線の表現は今後使える。しっかりと刷れているので、彫りの時も安心して彫れる。表現の幅が広げられる。
かろうじて今回何か残したといえる箇所はこの部分か。
直線を放射上に彫って表現するスタイル。エングレーヴィングの強みを生かせる表現で、デューラーの銅版画で見たことがある。
デューラー メランコリア
左上の部分
しかし、改めて見ると描画量がとんでもないな。技術力や製版の質は当然ながら、制作時間もとてつもなくかけて作っているに違いない。
恐ろしく細密で、驚異的な技術で描かれている。
西洋的ないわゆる写実的な表現を、線と点を組み合わせて表現している。このレベルの彫りで、萌えキャラ、紙幣、などを彫ることができれば面白くなりそうなんですが、このレベルの技術が身につけられるのか。あと20年、30年くらいやり続けて、なんとか近づけないだろうか。
可愛さは好きだが、気持ちがブレるとちょっと変わる。
まっすぐブレずに彫らないと可愛さがどんどん失われていく。
かわいくないわけではない、が決して特別かわいさがあるわけではない。納得はいってない。
今回の体力ではきつかった。
刷りは問題ない。ちゃんと刷れた。
着色エディション 計4種
●刃の太さ
今回、通常より細めの刃を使って彫った。
より質を上げるために使用したが、体力がもたずうまく生かせなかった。
研ぎ方を改めて、研ぎの質が変わってから細い刃も使えると気付き、やってみましたが、問題なくOKだった。全然使える。しかし、今回はダメだった。
上から小、中、大。
大きければ太い線が、細ければ細い線が彫れる。ものすごく当たり前のような気がするが、彫る側からするとなぜそうなるのかいまいちピンとこないとこがある。
●反省点 命を削って作るのはものすごく自分に合ってる。銅版画の制作のためなら、体力を消費してよりいいものを作りたいと思う。結果的に版画の質も上がり、なにより作ってて面白く感じる。でもすごく疲れる。その辺をしっかり理解して制作しないと今回のようにつぶれてしまう。なかなか難しい。