3/6作目
1製版
ただ細密に彫りこめばいいと考えていたのを止めて、白黒グレーの三色バランスを考慮した。
若干余裕を持たせた線。
萌えキャラ部分を白とグレーでアウトラインMAX黒、背後をやや強グレーを想定。
太い線と細い線を巧に構成して数字の内部の凹凸を表現。
これはかなりうまい。
太めの縦線の連打に、細めで陰影。
柔らかい感じにしたいんですが、ムズイ。
小ビュラン。
相当細い線が彫れる。
小ビュランはもともとあった刃だが、ここまで自在に扱えなかった。
一層目を彫る刃と、二層目以上を彫る刃=(ダート用と呼んでいる)を分けたことで、刃によって彫り分け刷ることができるようになった。
ダート用の中刃で交錯線を彫る。
時間的な問題もあり、紙幣部分中央下部分のやや黒目の部分を実物と違う構成で彫る。
紙幣部分中央上部分の空白部分は、弱曲線で面を作るつもりだったが、中央の装飾がややこしい構成をしてるので断念。
萌えキャラ部分を強調するためには周囲の空白を埋める必要があり、いろいろ工夫した結果、
このようにした。
これも実物とは違う構成である。
製版終了。版の時点では傑作レベルの完成度。
工夫がちりばめられており、全体の白黒バランスも良い。
磨く。
インクを練る。
インクを詰める。
刷る。
悪くない完成度。
前回ほど平坦な感じがなく、白黒のバランスがいい。
ディティールのレベルが一段階上がって、かなり細かい描写が入ってる。
小ビュランの使い方を覚えた。
萌えキャラの存在感を紙幣部分が手助けできていてよい。
おっぱい。
胸の描写は微妙に工夫しており、白→グレー→アウトライン(MAX黒)の三色で構成した。
グレー部分の階調を緩やかにするため、全体にハッチングした縦方向の線を太く、影を細い線で彫った。細い線で彫った影を弱めの表現にしたかった。
近接ではやや微妙な感じになるが、遠目で見ると悪くない。
改善の余地あり。
完璧の表現までは程遠く、どうしていいかはわからない。
顔
ほぼ完成されていると思われる。
これ以上彫りこめば可愛さが消えてしまう。
左側の黒は三重に交錯させたMAX黒
この荒い彫りは必要だろう。
表現の幅を広げるにはきれいなやり方だけでは限界がある。
数字の100の背後の装飾は、デフォルメされた二匹の鳥。
超細密な線が仕込んであり、よくできた。
正直もっとよくできる。
装飾
小ビュランで彫った。今までよりもさらに細かい線。
この辺の模様もスマート。
萌えキャラ部分の最たる課題は、柔らかい階調を作ることに尽きる。
強靭なアウトラインが萌えキャラ最も重要な表現で、内部の彫りは二の次である。が、それ以上を求めると結局内部の彫りが必要で、もっと柔らかい階調をつくりたくていろいろ工夫してるが、答えがわからない。
実物の紙幣の図柄をまったく無視した部分。
個人的に彫って悪くない部分だったが、おそらく受けは悪いだろう。
うーん。こういう彫りを組み込んだほうが個人的に楽しいしやりやすいんだが、いらないんだろうか。
黒点の周りに円の連打。
線の太さを左右の箇所で変えてある。
こちらは太い線。
左は細い線
2020
これはいままで彫った文字でいちばん細かい文字。
非常に細かい。
完成度はかなり高いです。
実物の構成に7割はよせて制作した。
途中、若干壊した部分がある。
三色バランスが良くて遠目からでも映える。
萌えキャラ部分は文句なしにかわいい。
紙幣系を制作することにした、当時の目的には紙幣に寄せていくということがあった。その目的からだいぶズレている。
うーん。紙幣によせていくのもいいんだけど、好き勝手やりたい気持ちが抑えられない。
難しい。
●今回制作中に思ったこと 白黒の関係
今回の制作で意識したのは、白・黒・グレーの三色のバランスだ。
左の画像では、左から白、グレー、黒と順に強くなっている。鉛筆で描いたもの。
前回のNo184が全体的に見て白とグレーの二色で構成されていた。二色しかないので平坦、単調に見えた。
そのため今回は三色バランスを意識した。それと、もう一つあって、
←の画像。左の〇は上の画像の黒だ。
右の〇はマジックインキで描いた黒。
鉛筆とマジックインキで描いた黒は当然マジックインキのほうが強い黒になる。
道具の違いを言いたいんじゃなくて、上の画像では黒だったものが、下ではむしろグレーに見える。極端に言えば白にも見える。
黒だったものが、隣にさらに強い黒があるだけでグレーか白に変化する。
つまり、白黒の関係は相対的なものでである、ということだ。白か黒であるかは、周囲と比較して判断する。それを繰り返して組み立てると、絵は美しく見えると思われる。