萌銅版画の制作
1製版
アウトライン
髪を彫る
体を彫る
萌えキャラを白、背後をグレー、外枠を黒の配色。
体の部分が難しくて弱線でわりと細密に彫りこむ。
アウトラインをかなり強めで内部を弱めの線で彫る。
このように細い線を彫りこむ。
弱線。
交錯線の彫りは、交錯線用の刃を使用した。
一層目の線を彫るのと二層目以降の線を彫る場合の、刃の摩耗の違いに気づいた。
刃の摩耗が違うと研ぎの仕方も変わる。
一層目の刃と二層目以降の刃の研ぎの違いを理解すると、研ぎの効率と彫り方が変わり、より精度のある線が彫れるようになる。
今回の萌えキャラの描写はかなり細かい。
全体の形をアウトラインで細密に形作り、内部を彫った。
紙幣部分を彫る。
外枠は黒。
中間の刃でかなり強めに彫る。
二重の線。時間の都合でやや単調で大味な彫りになったが、中心部が細かいので結果的に良く見える。
萌えキャラの頭部の背後。
髪がややグレーなので黒か弱めのグレーか迷った。
細い刃で弱めのグレーを表現する。
体の部分の背後は強めのグレーを意識した。
四角に丸。
彫り 終了。
今シーズンから一枚の原版につき200枚を刷るようになり、原版もそれだけ刷るに値する完成度になるようにしていて、今回もなかなか彫りこんだ。
表面を磨く。
原版は本当に美しい。
私は実物の紙幣の原版を見たことがない。
が、造幣局の職人だった人のエングレーヴィング作品の原版は見たことがあり、素晴らしく美しかった。
原版はこの世に一つしかない。
版画と違い二次元ではなく三次元の工芸品である。だから余計に美しく見える。
刷り
インク練り
インク詰め
刷り
第一印象はやや薄いかな~と思ったが、白黒グレーの配色バランスがよく、なかなか良い。
全体的に非常に細かくディティールの質が高い。
細い線を多用してるせいでぱっと見、弱めの印象をもってしまう。
これだけ細かいと、今使ってるデジカメではしっかりと線まで写しきれない。
かなり細かい。
・・・。
かわいい( ;∀;)。
萌えキャラは癒し。ストレスを癒してくれる。
髪の影もいい感じ。
頬の赤らみ、鼻の影がよい。
この微妙な弱さは細いビュランだからこそできる。
線と線の間に、やや短めの線を彫りこんで階調を作った。
太い線で彫ったアウトライン、目、口、鼻があるからこそ弱線が生きる。
もうちょっと強めでよかった。
一面に複雑な凹凸がある時の彫りが難しい。
表層的に彫ったつもりだが、途中でちょっとこんがらがった。
ふともも
う~ん・・・・。
なかなかいい・・・・。
点描をここまでうまくいかせたことはなかった。なんかいつも点描が浮いてしまうが、今回はわりとなじんでる。
面を意識した点描ではなく、全体的にちょんちょんと彫りこむような感じ。
紙幣部分 文字と装飾
細かい部分で、彫りこむのに時間がかかる。
内部は全体的にかなり細かい。
外枠のこの部分は強めの大味な線。
内部が細かいと相対的にこの線がすごい生きる。
強くしなやかなきれいな線に見える。
総評
いままでの銅版画と比べてかなり細かく描かれている。ちょっと質が違う。
ぱっと見の印象がやや弱いが、よく見ると密度がある。銅版画というより鉛筆画という感じ。いわゆる素描。
彫りと刷りに自信がついてきて、こういう弱い線でもガンガン使うようになってきた。
完成度は高い。
●刃の摩耗と研ぎ
刃の研ぎ
銀色の道具がシャープナー。
刃の断面を正確に研ぐ道具。
このように持ち前後に動かし研ぐ。
シャープナーがなくでも研げるには研げるが、断面の研ぎの頻度が少ないのでシャープナーで正確に研ぐ。
一層目と二層目以降の彫りによって刃の摩耗が違い、それぞれによって研ぎ方も変わる。
研ぎ方の違いを理解すると、研ぎの大変さを緩和でき作業効率が上がる。
地味にデカイところでそのおかげで今回の細密さが実現した。
作業台周辺。
ごちゃごちゃ。それぞれのビュランは役目がある。刃によって線の性質、彫りやすい彫りにくい線があり使い分ける。