1製版
試刷りします。
試刷りは本刷りより雑にインクを詰めます。
(事前にインクをヘラで練ったり、ローラーを使用しない。ゴムヘラで直接インクを詰めるやり方。→線が抜けたりする)
2年前くらいまではこの方法で本刷りをやっていた。
試刷りではこの手法でよい。
試刷り1
点描のおかげで皮膚感が大きくあがってるな。
柔らかい表現は点描にかぎる。
点描の柔らかさの表現はかなり好きかも。
ただ、皮膚はともかく布の質感や紐とか、金属の部分、コップや水面の表現など、細かく見てくと甘いような気がしてくる。
製版2
学生時代、教授にこんな感じの点描はあまりしないほうがいいと言われた記憶がある。
どういう意図でいったのかいまいちわからないが、おそらく職人的な彫りをすべきでないという意味で言ったのではないだろうか。
個人的にはこの表現は絶対に必要なんですけど。
試刷り2
見てください、この太もも。
点描を組み込むだけでやわらか~い感じになってます。
試刷り1 比較用
点描があるかないかで全然違う。
こっちは安っぽく感じる。階調が段階が点描のほうが多くなって存在感が全然ちがってくる。
椅子の木目は、ま~、まぁまぁか。
試刷り3
製版4回目
窓部分を彫って彫り終了
研磨剤(青棒)で表面を磨く。
キメの荒い布で磨くと良い。
さらにピカール(細かい研磨剤)で仕上げる。
刷り
インクねり
ローラーでインクをのせる
ヘラでインクを線の溝に詰める。
ヘラのエッジを効かせて詰めると良い。
寒冷紗でインクふき取り、人絹で油膜を取り除く。
プレートマーク(銅板のエッジ部分)をウエスでふき取る。
プレス機へ
紙をのせる
試刷り三回重ねたのは初めてで、体力使いました。
試刷りを重ねたほうが完成度高くなるだろう。
気になった個所を彫り足したり修正できるから。
昔はめんどくさくて全部一発で終わらせてた。
窓の奥行の部分は表現の仕方が全然わからなかった。
エングレーヴィングの性質上エッジの強い物体は描きやすいが、薄くボケたモヤモヤした表現はよくわからない。点描を駆使してごまかすくらいしか思いつかなかった。
萌えキャラの顔の皮膚感は大分完成度高くなった。
もうちょっと陰影が強くてもよかったかも。
強すぎるとかわいさが無くなるので、微妙なところ。
服のシワなど結構苦手な部分だが、上手くいった。腹の部分がぶよぶよみ見えるのは気になるが。
試刷りを何度も重ねると、完成刷り上がりの感動みたいなのが半減する。
逆にがっかりすることも減るけど。
完成度高いです。時間がかかった。
エングレーヴィングは鉛筆画とか油絵みたくテンションで強引に制作を進められず、ひたすら地道にコツコツ進めるしかない。
←上の二枚は版画洋紙(アルバデラン)を使ったもの。
下は通常の画用紙(サンフラワー)。
やっぱり刷り上がりの印象が違った。写真だとわかりずらい。
版画洋紙のほうが画用紙より線のノリが良く、強い黒がでる。
版画専用の洋紙だから当たり前かもしれないけど。あと色合いがちょっと青っぽい気がする。
青みがかかっている。
版画専用洋紙のもの。
とにかく版画専用洋紙は高い。
通常の画用紙より10倍以上は値段が高く、その分紙質は比較にならないほど良い。
刷り上がりの変化はそこまで変わらない、というか版画になじみのない人であればあまり変わりを実感できないだろう。
圧倒的に頑丈。繊維の密度が半端じゃない。
通常の画用紙を5枚くらい凝縮すると、一枚の版画専用洋紙になるんじゃないか、みたいなイメージです。
今回は、なかなか良かったですが、だいぶ体力消費がでかいです。