ひさびさの傑作といっていいでしょう。
かわいさとエロさを兼ね備えた、すばらしい萌銅版画です。
というより、可愛さはサブ的な要素にすぎないと感じるほどに、刷りが快楽に満ちていた。
久々に刷っていて気持ちよかった、というか楽しかった。
いろいろ原因がありそうだけど、かわいさとか表現のこと以上に刷りが気持ちよかったです。
今回の彫りは線の強弱を意識した。
一度細い線で彫った後、太いビュランで重ねぼりする。
そうすることで一本の線に強弱を作って、弱階層を作った。
これが思ったよりいい感じで、今後普通に組み込んでいく手法になるだろう。
線の強弱に関して、例えば髪の部分。
前髪中央部の真っ白ハイライトと、一層の線で彫ってある。
ハイライトの下の部分の線の部分。線の強弱をつけてグレーをやや強めた。太いビュランで二重彫りは版上ではあまり変化を感じにくいが、最近になってその違いに分かるようになってきた。
以前なら細い線を、線と線の間に彫り込んで階調を作っていた。その手法もアリだが、こっちのほうがよく感じる。表現的にはどうかわからないが、刷っててアリと思うのは強弱をつける彫りのスタイルだ。
こちらも同様。
髪を束ねた部分の微妙な陰影を強弱でうまい具合に表現できた。
これは以前に強烈に求めていた表現だ。
服の部分の陰影も線の連続を一層で描き、強弱によって陰影を表現した。
以前ならクロスハッチングでやっていた部分。
クロスハッチングの微妙な迷いみたいなものが消えた。
パンツの部分の陰影。
真っ白のハイライト、点描の弱グレー、細線のグレー、太線の強グレー、細線のグレーという階調。
太線の強グレーが強烈に良い。
この微妙な表現は以前ではなかった。
かなりこの表現は好きであり、アリだ。
かなりいいですね~・・・・・。
思った以上によかったです。線の強弱による表現。
なんでいままでやらなかったんだろうと思えます。
ヘンドリックホルツィウスっていう銅版画家がいますが、その人が作る銅版画の美しさに惚れて銅版画を始めたんです。
彼の銅版画から感じた魅力の片鱗を、この萌銅版画から感じられた。
なにかがある銅版画は刷ってて爽快な気持ちになれる。それを求めて萌銅版画を作っているような気さえする。かわいさすらサブウエポンに過ぎないと思う、そんな気持ちです。完
着色 1種