試刷り
顔はしっかりと彫り進め、体は線描で彫った段階。
主に3倍ルーペを使用し制作した。
髪はアバウトな感じで進めたはずが、思いのほかいい感じに仕上がってしまった。
さらに研磨して彫り足していくことにする。
線と線の間に点描を打ち込む
3倍ルーペと15倍ルーペ
さらに細密な彫りをする際に15倍ルーペを使用する。
主に点描。
彫り終了
寒冷紗でインクを詰め込み&ふき取り。
寒冷紗はもともと白色だが、使用するたびにインクが付着して徐々に黒くなり、やがてこのように真っ黒になる。真っ黒になるまで使うと、インクのふき取り能力はかなり下がる。
大学時代は工房に大量の備品があったので無尽蔵に使用できた。なのでこんなに黒くなるまで使わなかった。
かなりいいですね~主に上半身が良い。
肌の質感がいいです。
頬の赤らみは可愛さの表現において重要だ。
肌の質感と陰影を点描で表現する場合、頬の赤らみを同じような点描で描写するべきか、今回のように、太め点(あるいは線)で表現するべきか。
基本、白黒で表現する銅版画では物体を描写する際、光と陰影を描く。色は描かない。描けない。白黒だし。
頬の赤らみは色なので、描写しないのが銅版画の描写においてのセオリーだと思われる。
今回は肌の質感の点描とは違う質の点描で描いた。
この横乳を表現できたのは良かったです。
刷りについて
刷りの効率化のため、インクを詰める際のゴムヘラを変えようと考えた。ホームセンターで売っているペンキとか塗るゴムヘラを購入し、版のサイズに合わせて端をカッターで切断した。
取っ手がついている点、横幅を版のサイズに合わせた点、これらの2点がメリットだと思い制作した。
このように、通常のゴムヘラでは上から下へと詰め込む動作が二回はあるところ、この新型のゴムヘラでは一回で済むため、効率が良くなるだろうと考えた。
結果、惨敗。
このようにしっかりとインクが詰め込まれず、線がとぎれとぎれになってしまった。
正直、この現象は最悪な気分になるんです。
学生時代はもちろんのこと、それ以降も随分この現象に苦しみました。どれだけ製版が完成度の高かったり満足のいくものであったとしても、しっかりと刷れなければなんにもならない。製版まで否定されたような、ものすごいガックリ完に襲われる。
かつて散々味わったこの感じを、久々に思い出しました。
いつものゴムヘラ。大学で使っていたゴムヘラを勝手に持ち帰ったものです。
幅が狭く、完璧ではないがしっかりとインクが詰まります。
いつも通りに刷れば、今ではかなり安定して刷る事ができるので、しっかりとした刷りが当たり前に思っていました。しかし、今回の新ゴムヘラの失敗のおかげで思い出しました。いままでの失敗の積み重ねが。
キレイに刷れてます~