点描の量が非常に多いです。
私はもともと人間が描くのが好きで、特に皮膚の柔らかな丸みを感じさせる、光と影の階調を表現したいと強く感じます。
エングレーヴィングの線でそれを表現しようとすると難しくてあまりうまくいきません。
なので点描を多用しています。
刃の断面がひし形のビュラン
主に二層目の描画で使用しています。
ビュランの線は
小さい食い込みから始まり、徐々に太くなっていきます。
この性質を生かせる部分であれば良いし、生かせないような部分が工夫してひと手間かけなければならず、厄介です。
線の強弱を生かせた部分
この丸みは美しい。
制作の後半にさしかかると、だんだん冷静さを欠いてきます。
点描の物量でゴリ押ししているような感じがします。
版を磨く
このインクにはリッチブラックにクリムソンレッドを8:2くらいの割合で混ぜてます。
リッチブラックのみでは、線がかすれてしまう。
相当丁寧な刷りをすればよい刷りができると思いますが、ちょっと厳しい。
クリムソンレッドを少し加えることでインクに柔らかさが増して線のかすれができにくくなる。
当然、線の色はやや赤みがかかった黒となる。
ボン!
美しい・・・・・・・・・(´;ω;`)
皮膚の感じは歴代萌銅版画の中でベストです。
素晴らしい!そして、刷りの大変さも歴代ベストでした。
よりよい刷りのため、ローラーインクのせ→寒冷紗で拭き取り×2→人絹で仕上げふき取りの段階を踏みました。
この制作後、しばらく精神疲労の状態が続きました。
コバルトブルー
くすんだ青色とのことです。
クリムソンレッドがいろいろと役に立ったりしたので調子に乗って青を購入しました。
クリムソンレッドと同様に、かなり柔らかい感じです。
顔料が細かく、かつ粘度が低い。
エングレーヴィングの刷りには最適な性質のようにも思えますが、あまりに極端なので余白部分に油膜が残ります。
・・・・(';')
カラーインクの刷りは、難しい。
No351と並び今年のベスト萌銅版画になるでしょう。
振り返ると相当追い込んで制作していたかもしれません。