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★No391(製版1) 

アタリをニードルで彫っていく。

 

※萌銅版画史上、最大の大きさの版画となります。

表面

裏面

萌銅版画の大きさは小版画(120×90mm)と大版画(160×125mm)で固定していますが、今回はそれらの固定サイズの銅版画では満足できず、でかい版画にチャレンジします。

 

が、肝心の銅板が見つからずしぶしぶ大学時代に制作し、途中で放棄した習作の裏側を使用します!

もう10年前くらいですかね。

試刷りは本刷りと違い何枚も刷りません。

試刷りセットとして出品する1点と、記録として残す1点の計2枚を刷るだけです。

したがってインクを大量に使うわけではないので、画面上部に映っているようにアルミホイルに包んだインクを使用して刷ります。

 

試刷り1

基本的に一日に一回だけ試刷りを行います。

 

 

試刷り2

 

髪を中心に彫り込みます。

これだけ複数の萌えキャラたちが大量にいる画面だと、彫り込みの際ちょっと覚悟が必要です。

一度彫ってしまえば線を消すことはできませんから、覚悟をもって彫り込みます。

 

試刷り3

今度はボディへ移ります。

萌えキャラのボディは実にエロティックで魅力的です。

実際の人間の体よりも簡略化されていて平面的なのですが、そこには微妙な明暗の変化があり、それらが簡略化された女体にエロスを感じさせるのです。

一度の彫りで完全なもの、あるいは満足のいくものを彫り込めるとは思っていません。

試刷りを積み重ねていき、その都度加筆してより望むものに近づけていきます。

 

私が強く求める部分があるのは、胸元周辺です。

この段階ではやはりまだ甘いでしょう。

極細かつひし形のビュランを使用した点描の連打です。

現状考えられるもっとも小さい点描です。

試刷り4

 

胸元にやや加筆しました。

まだ甘いでしょう。今後も徐々に加筆していきます。

試刷り5

顔の部分は点描控えめ白多め。

 

試刷り6

 

生足。むっちりしている感じにしたいですね。

点描を徐々に彫り込みます。

彫刻で銅を削り立体物を作るような感じで彫っています。

試刷り7

手前の萌えっ子がいい感じですね・・・・

胸元の感じも結構仕上がってます。

試刷りは本刷りと違って、刷る前に版表面を磨かないのでインクの詰めがしっかりできない場合もあり、刷りにムラができてしまいます。

 

いい感じですね(*'ω'*)

 

ちなみにバニー服の部分は主に線でちょちょっと彫るだけにしたいと思ってます。

できる限り肌、皮膚、むっちりピチピチなボディに焦点を置くためです。

第二萌えっ子

手前の萌えっ子より奥にいますから、やや肌の色合いを濃くしています。

点描は表層的に彫り込みます。

点描を一回一回彫り込むにあたり、体の形を意識します。

試刷り8

試刷り9

第二の萌えっ子の重要な個所はやはり胸元でしょう。

同じく彫り込んでいきます。

試刷り10

胸元さらに彫り込みます。

胸元のエロスに惹かれているのでしょうか。

やはり妥協のできない重要な箇所です。

試刷り11

さらに加筆。

・・・・まだ甘いのではないだろうか。

 

試刷り12

少しづつ良くなっているように感じます。

試刷り13

試刷り14

第三の萌えっ子に突入します。

試刷り15

試刷りのムラですね。あまりよく刷れていません。

試刷り16

☆(ゝω・)vキャピといった感じでしょうか・・・・

 

 

 

いいですね・・・・

でも脇から二の腕にかけての部分が甘いか・・・

ビュラン

 

あまり最近は面子に変化がありません。

試刷り17

手の彫り込み、そしてその影

試刷り18

第三萌えっ子の太もも・・・・・

 

むっちり感大事です・・・・・・・・

 

 

 

試刷り19

研ぎ

刃を研ぎます。精密な彫りをするために必須の作業です。

学生時代は研ぎにはとんでもなく苦労しました。

 

 

アーカンサス砥石と呼ばれる天然石で、表面はスベスベしていますがしっかり研げます。

試刷り20

 

萌えっ子2と萌えっ子3の太ももに、萌えっ子1の後ろ髪の影を描きたします。

これがあるとグッと空気感がでるんですよね。

でもど~にも感覚がつかみづらいですね。

ちょくちょく調整します。

萌えっ子1の太ももの鎖骨部分も少し調整が必要かもしれません。

萌えっ子4

 

キュートに決めなければいけません。

萌えっ子3の足首部分にもやや点描を加えて調整しています。

 

全体的に細かいです。

あまり試刷りに流されず、原版をしっかりとみて彫刻するよう心がけます。

試刷りを制作過程の中でするようになってから、最終的に出来上がる銅版画の形が想像しやすくなった。

しかし原版に彫りこむ際の意識に、刷り上がりの銅版画の形がチラついてしまい画を作る感覚が薄れる時がある。

何度かこういった経験を繰り返したことがあった。

今回はやはり原版そのものの画に最も注目して作りたい。

画を描くというより、原版に物体を彫刻するという感じで制作したいと強く思っています。

試し21

萌えっ子4の髪を中心に彫り込む。

あくまで原版の版表面の印象にこだわり、そのおまけに版画が出来上がるという感じで試刷りをしています。

主に顔や胸元は特に細かい点描を彫る。

細かい点描は溝の浅くなりがちで、実際に浅い。

そのため溝のバリやメクレをスクレーパーで削りとる際、溝まで削ってしまわないように気を付ける。

これが結構神経を使います。

せっかく彫った線が消えてしまうのは避けたいです。

試し22

萌えっ子4

主に顔の彫り

あと椅子の下部分

頬の赤らみはぱっと見可愛さを表現するうえで大事だと思いますが、物体の陰影を描くうえで結構ノイズになるところがある。

 

頬の赤らみは物体の凹凸ではなく、ただの色なので物体の陰影を描くうえでは邪魔になる。

顔の表面から側面にかけての凹凸を表現する陰影と、頬の赤らみがぐっちゃぐちゃになってしまうとまずい。

上手くごまかさなければならないし、場合によっては頬の赤らみを描かないことも考えなければならない。

試し23

 

萌えっ子4の上半身中心に彫る。

彼女らの顔の大きさはを実物大にすると、多分一円玉くらいの大きさでしょう。

細かいため、慎重に彫っています。

萌えっ子4の片足を彫る。

萌えっ子1、2、3の背後にあるためややこしい。

彫るのも難しい。

試し24

 

萌えっ子5に突入。

萌えっ子4の右足

 

これも前回同様背後にあるため難しい。

試し25

萌えっ子5の顔を中心に彫り込む

 

顔の凹凸の陰影を彫る。

頬の赤らみを加えるかはまだ判断しかねます。

頬の赤らみがあったほうが可愛さマシマシになりますが迷います。

試し26

 

萌えっ子5の上半身

刷った画に影響されすぎずに、あくまで原版の画を見て彫りを進めます。

銅版の表面は指の油やスクレーパーで削った際にできるこすれた傷などで汚れていて、画が見ずらい。

 

試刷りを刷る前に、酢に塩を混ぜた液体に銅版画を浸して表面をきれいにします。

酢と塩の液体に湿すとぱっと見だいぶ表面が綺麗になるが、完全なピカピカではない。

やはり本刷りの前にする研磨剤による仕上げには劣る。

刷り

版表面のインクをざっくり取り除く際に使うヘラ。

乾いたインクがこびり付いている。

かれこれ10年くらい使っているのだろうか。

もはや完全にこびりついていて取れない。

しっかりと拭き取っていればこんなことにはならなかっただろう。

試し27

萌えっ子5上半身をさらに描画。

萌えっ子5は萌えっ子1,2,3,4とはやや彫りの意識が違う。

可愛さへの欲求がやや薄れ、顔の凹凸をより鮮明にすることに意識が向いている。

試し28

 

萌えっ子5の下半身を中心に彫る。

体を感じて彫ることは楽しい!

体のラインを銅板の表面を通して感じ、少しづつ彫っていく。

凹凸を感じて彫ることは良いのだが、そこに影が加わると途端に脳の処理がごっちゃごちゃになってしまう。

 

萌えっ子1の顔にわずかに加筆している。

今の私の気持ちは、萌えっ子1を彫った時とは違う。

可愛さより物体の凹凸を感じたいという意識が強いため、萌えっ子1の顔に不満を感じたのだろう。

 

可愛さは欲しい。

しかし、自分の表現への満足も欲しい。

 

そのハザマを行き来して制作を続けている・・・・

試し29

試し30

ブログの記載限度に達したため次回ブログに続きます。